UEFA CHAMPIONS LEAGUE
アリス
サッカー好きを集めて、何の話かしら?
封牙舞
はい、UEFA CHAMPIONS LEAGUEの歴代決勝戦の思い出を語ってほしいと言われまして……
ロリスザード
技術だ戦術だではなく、あくまでも思い出なのだな。
ネル
まずは、この大会の概要から説明させていただきます。
欧州の各国リーグ、その前年の優勝〜上位クラブに出場権を与えられた「欧州最強(=世界最強クラブ)」を決める、まさにチャンピオンの中のチャンピオンを決める大会なのです。
アリス
現在、ワールドカップと並ぶサッカー選手にとって最も栄誉のある称号になっていて、その価値は自国のリーグで優勝するよりも大きいのよ。
封牙舞
日本でもWOWOW(現在はスカパー)が放映権を手に入れたことで、この欧州最高峰の試合がリアルタイムで見られる様になりました。
というわけで、これまでに見てきた決勝戦を思い返してみましょう。
UEFA CHAMPIONS LEAGUE 98-99 FINAL
マンチェスターU
(イングランド)
2−1 バイエルン・ミュンヘン
(ドイツ)
ロリスザード
試合は、序盤にバイエルンが先制、その後も試合を支配し、誰もがこのままバイエルンの勝利と思った後半ロスタイム……
ネル
ベッカムのコーナーキックから、奇跡の同点ゴールが生まれましたね。試合終了まであと数秒まできていながら、勝利の女神はバイエルンからすり抜けていきました。
封牙舞
しかし、奇跡はこれで終わりではありませんでした……後半ロスタイムにもう一度コーナーキックのチャンスを手にしたマンチェスターユナイテッド、スタジアムは異様な空気に包まれました。
アリス
そして、それは現実のものとなったわ……再びベッカムの放ったコーナーキックから、後半ロスタイムにもう一度奇跡がおき、勝利の女神は完全にバイエルンに背中を向けていったわね。
 
 
ロリスザード
同じピッチにいながら、勝者と敗者の間には、届かない崖が存在していた。
「今日のバイエルンは89分間完璧な試合をした、でも……サッカーは90分で行うものなのだ」当時の実況の言葉がこの試合を表しているな。
アリス
これが、試合の行われたスタジアムの名前から、「カンプ・ノゥの悲劇」と呼ばれる事となった、今後100年は語り継がれる試合よ。
このカンプ・ノゥの悲劇には、因縁めいた話もあってね、それに関してはEURO2008の時に語っているから、興味があったら読んでみて。
UEFA CHAMPIONS LEAGUE 99-00 FINAL
レアル・マドリー
(スペイン)
3−0 ヴァレンシア
(スペイン)
ロリスザード
この年は、決勝トーナメントでマンチェスター、バイエルンを打ち破ってきたマドリー対ラツィオ、バルセロナを破ってきたヴァレンシアによるスペインクラブ対決となったな。
 
アリス
この時代はまだ世界のスター選手が各クラブに均等に散らばっていたから、今では実感ないけど、ラツィオやフィオレンティーナって強豪だったのよね……ルイコスタのスルーパスを受けるバティ、クレスポとヴェロンのアルゼンチンコンビ……優勝候補の濫立って感じで、どこを見ても面白い対戦だったわ。最近は優勝できるクラブが限られ、そこにスターが集中しすぎっていうのが個人的にはちょっとね……
封牙舞
試合は、モリエンテス、ラウールの2トップ、マクマナマンが次々とゴールを決めて、レアル・マドリーの圧勝で終わりました。
UEFA CHAMPIONS LEAGUE 00-01 FINAL
バイエルン・ミュンヘン
(ドイツ)
1−1
(5PK4)
ヴァレンシア
(スペイン)
ロリスザード
ヴァレンシアが2年連続決勝戦にまでたどり着いた、しかしそこに立ちはだかるのは、カンプノゥの悲劇を乗り越えてこの決勝の地に舞い戻ってきたバイエルン・ミュンヘン。
ネル
試合開始直後にいきなりハンドでヴァレンシアがPKのチャンスを掴み、これを決めて先制します。ところが、今度はバイエルンにPK、これを名手カニサレスが弾きますが……
アリス
後半、またしてもバイエルンにPK……1試合に3度もPKが出るという事態の中、今度はしっかりと決めてバイエルンが同点……試合はそのまま90分、延長まで戦い抜き、PK戦にまでもつれこんだわね。
ロリスザード
つまり、この決勝で生まれたゴールは全てPKだったということになるが……この時バイエルンのGKはドイツ代表のカーン、ヴァレンシアのGKはスペイン代表のカニサレス、当時世界最高峰だった両GKの対決は、カーンに軍配が上がり、バイエルンが2年前にピッチに忘れてきたものを取り戻した。
ネル
勝者がいれば、そこには必ず敗者がいます……「決勝で敗れることは、1回戦敗退とは比べ物にならないほど悔しい」といいますが、ヴァレンシアは2年連続でその屈辱を味合うこととなってしまいました。
UEFA CHAMPIONS LEAGUE 01-02 FINAL
レアル・マドリー
(スペイン)
2−1 レヴァークーゼン
(ドイツ)
ロリスザード
「トレブル」、それはその年の「国内リーグ」「国内カップ戦」「チャンピオンズリーグ」の全てを優勝することである。かつてこれを成し遂げたクラブはマンチェスターユナイテッドとバルセロナしかいない……だが、そこにあと一歩まで迫ったクラブがあった、この年のレヴァークーゼンである。
アリス
先制したレヴァークーゼンだけど、レアル・マドリーの反撃によって同点とされ、更にジダンの芸術的過ぎるボレーシュートが決まって逆転されてしまったわね。
封牙舞
また、この試合では、レアル・マドリーがGKの負傷により、カシージャスが途中出場しました。GKの治療で長い時間試合が中断した為、後半ロスタイムは10分近くとられ、レヴァークーゼンの猛攻が続いたのですが、カシージャスはこれを神憑きしたかの様に好セーブを連発、優勝に貢献するだけではなく、カニサレスのプライベートでの負傷もあってスペイン代表の正GKへの道を駆け上がることとなりました。
アリス
そして、トレブルまであと少しだったレヴァークーゼンは……チャンピオンズリーグの決勝で敗れ、国内リーグは最終節で優勝を取り逃がし、カップ戦も決勝で破れるという絶望的なシーズンとなったのよ……
UEFA CHAMPIONS LEAGUE 02-03 FINAL
ACミラン
(イタリア)
0−0
3PK2
ユヴェントス
(イタリア)
アリス
イタリアは守備の国っていうけど……本当に0−0のまま試合が終わってしまったわね……PK戦でミランが勝ったけど、「高度な潰しあい」、「レベルの高すぎる駆け引き」という感じで、スペクタクルとはまた違うベクトルの試合だったわね。
ロリスザード
ちなみにチャンピオンズリーグは、ホーム・アウェイで同じ相手と2度試合するが、決勝戦のみは最初から会場が決められ、そこで一発勝負を行う。このときはマンチェスターユナイテッドのホームスタジアム、オールドトラッフォードが決勝の地だったが、地元の観客が、このイタリア式の試合に欠伸をしたり転寝をしている姿をカメラがよく抜いていたな。
UEFA CHAMPIONS LEAGUE 03-04 FINAL
ポルト
(ポルトガル)
3−0 モナコ
(フランス)
ネル
この年は、本命が次々と脱落し、番狂わせに次ぐ番狂わせが起き、決勝戦に残ったのはポルトとモナコという、全くノーマークだったクラブでした。今から時間を遡り、開幕直後にまで戻って「決勝はポルト×モナコだよ」と言っても、信じる人はほとんどいないでしょう。
ロリスザード
オープニングセレモニーも毎回愉しみにしているのだが、この年は和太鼓が登場したり、かなり迫力のあるものだったな。
 
 
UEFA CHAMPIONS LEAGUE 04-05 FINAL
リヴァプール
(イングランド)
3−3
3PK2
ACミラン
(イタリア)
封牙舞
04-05の決勝戦、この試合は「イスタンブールの奇跡」と呼ばれ、語り継がれています……
アリス
ACミランが前半のうちに3得点を決め、試合を決定付けたと思われた……実際、0−2から逆転する試合は数多くあるけど、0−3までいくと逆転する試合ってあまりないわよね……それも、相手が格下ならまだしも、最強を決める大会の決勝戦よ?
封牙舞
でも、後半がはじまっても、リヴァプールの目は死んでいませんでした……守備を削ってまで敷いた攻撃的布陣で挑み……そして、僅か7分で3得点をあげるという、まさに奇跡としか呼べない偉業を成し遂げたのです。
ロリスザード
リヴァプールには、マイケルオーウェンという世界レベルのFWがいた、彼はいまのままリヴァプールに残留してもチャンピオンズリーグの優勝はできないと、このシーズンからレアル・マドリーに移籍した、だが、その年に古巣のリヴァプールが優勝するという皮肉な結末を迎えてしまったわけだ。
 
UEFA CHAMPIONS LEAGUE 05-06 FINAL
バルセロナ
(スペイン)
2−1 アーセナル
(イングランド)
封牙舞
この年のバルセロナは、ロナウジーニョを中心に、まさにドリームチームという貫禄をみせてくれました。前半0−2で負けていても、後半に3点とってくれるだろうという予感を感じさせ、それが現実に起きる、そんな試合を何度もみせてくれました。
アリス
そんなバルサだから、この決勝で先制点を奪われた時も、不思議と心配はなかったわね……そして、現実に逆転したわ。
2002年を境に、レアル・マドリーが日本でも次々とマスコミに取り上げられる中、バルサは長い低迷時代を迎えていて……日本にまだJリーグがなかった頃からバルサをずっと応援していた私の友人は、この日本当に涙を流していたわよ。
ロリスザード
この頃から日本のマスコミは、バルサ、バルサと手のひら返したがな。
アリス
それについても、友人は涙を流していたわよ………
 
UEFA CHAMPIONS LEAGUE 06-07 FINAL
ACミラン
(イタリア)
2−1 リヴァプール
(イングランド)
封牙舞
2年前と同じ組み合わせ…そして、2点を先制されるという同じ展開………終盤に1点を返したとき、「イスタンブールの奇跡再びか?」と実況されましたが………
アリス
奇跡はね、そんなに安売りされないのよ……本当にたまにしか起きないから奇跡なのよ……と、私はちょっと覚めた目で見てたわね……そして、奇跡は起きなかった。ACミランが2年前の雪辱を果たすこととなったわ。
UEFA CHAMPIONS LEAGUE 07-08 FINAL
マンチェスターU
(イングランド)
1−1
6PK5
チェルシー
(イングランド)
ロリスザード
この年は、イングランド同士の対決となったが、PK戦の末、マンチェスターが優勝した。
……どうでもいいのだが、国内リーグのスケジュールは最初から決められているのだが、どうしてチャンピオンズリーグの決勝トーナメントを行う時期にリーグでもビッククラブの対決を配置するのだろうな……
アリス
たった7日で、決勝トーナメントホーム、国内リーグ、決勝トーナメントアウェイ、と強豪と3試合、とかよく見るわよね……ちょっと記憶が曖昧だけど、昔リヴァプールとチェルシーが、国内リーグ、国内カップ、チャンピオンズリーグで2週間で5回対戦したことがあった様な……
UEFA CHAMPIONS LEAGUE 08-09 FINAL
バルセロナ
(スペイン)
2−0 マンチェスターU
(イングランド)
封牙舞
そして、記憶に新しい08-09シーズン決勝戦です。
アリス
ロナウジーニョが移籍した後、バルセロナはメッシを中心に再びドリームチームとなったわ。そしてこの決勝戦………私は、まるで夏にアジアツアーにきて、Jリーグのチームと対戦しているかの様な錯覚を覚えたわね。
ロリスザード
これが、チャンピオンズリーグの決勝戦なのか?……というくらい、バルセロナが一方的に試合を支配し続けた……
封牙舞
この年、バルセロナは国内リーグ、カップも優勝し、トレブルを果たしました。
そして、09-10シーズンはどんなドラマが、どんな悲劇と歓喜が、どんな新星選手が現れるのでしょうか………
アリス
でも……自分の中での黄金時代ってどの世代にもいると思わない?……どんなすごい選手が現れても、昔のファンが「クライフには及ばないよ」とか言うみたいに……私の中では98年〜04年くらいに全盛期だった選手がその世代なのよね……いま、その時代の選手が一人、また一人と引退していくから、寂しいわね。